オール・アバウト・マイ・マザー
1999年スペイン監督:ペドロ・アルモドバル
出演:セシリア・ロス、マリサ・パレデス、ペネロペ・クルス、アントニア・サン・ファン
(´▽`)つ★★★★☆
<ストーリー>
マヌエラは、マドリードで女手ひとつで息子エステバンを育てた。
エステバンの誕生日、一緒に舞台劇「欲望という名の電車」を観に行き、舞台女優ウマ・ロッホからサインをもらおうと道路に飛び出したエステバンは、車にはねられ死んでしまう。
悲しみを抱えながら、マヌエラは息子の存在も知らないエステバンの父親を探すためにバルセロナへ向かう
※ネタバレ含んだ記事です。
「欲望の法則」「バッド・エデュケーション」のペドロ・アルモドバルが監督。
独特の登場人物を描くことに長けている監督らしく、この作品も個性豊かな登場人物で女性の友情や愛情を独自に描いています。
タイトルの「マザー」ですが、日本語で直訳しても量れない意味合いが「マザー」には込められているようです。この映画に出てくる男性はほんの僅かで、母親、娘、女優、ニューハーフ・・・というありとあらゆる「女性」が物語の中心。
息子を亡くしたマヌエラは、息子の臓器移植を提供することを承諾し、こっそりドナーを見に行ってしまっては悲しみを深くしていく。
そこで、どうして息子の父親に会いに行こうとしたのかは不明だけれど、ともかく会うためにバルセロナへと向かう。
バルセロナに着くと、昔の友人でニューハーフのマグラードと再会する。そこで、私たちは息子の父親がどんな人なのか知らされるんですねー。
いわば、女に肉体改造して、下半身は男のままで女性と関係を持っちゃう、ニューハーフとも言い難い男なのです。
息子に父親について何も話さなかった理由がわかる。
マヌエラはシンミリと落ち込む暇も無いように、いろんな人と出会っては関わっていく。「いつの間に?!」と思える早さでアパートを借りて、仕事を探すために何故か修道院へ行く。
そこでペネロピ・クルス演じるロサと出会う。
人のために尽くすことを行ってるロサは、母親とソリが合わない。
そんな中、ロサは妊娠していることをマヌエルに打ち明ける。
しかも、その相手はエステバンの父親であるロラだと知っちゃうし、ロラからロサはHIVを感染させられていた。
結局、一度は断ったロサとの同居をマヌエルは許すことに・・・。
バルセロナで、エステバンと最後に観た舞台劇の公演があることを知ったマヌエルは観に行く。そしてすんなり楽屋へと入ってウマ・ロッホに会う。
ところが、ウマと共演している女優がいなくなり、一緒に探すハメに。
開いて見れば、ウマは同性愛者で共演の女優は恋人。
しかも恋人はマリファナ中毒で、けっこう我がまま。
時折息子を思い出しては咽び泣くマヌエルなんだけれど、とにかく浸ってる暇はない。
ロサは弱っていきつつも、出産が近くなるし・・・。
まるで奇想天外な感じのドラマではあるし、脚本的には雑な部分もあります。けれど私はこういうドラマは好きですねー。
女は強いとか偉大とかいうお仕着せな感じはないんだけれど、マヌエルを演じたセシリア・ロスが哀しみと強さを醸し出すのが上手いので、女性に共感を持たせつつ励ましてくれている感覚を受けた。
結末も前向きな感じで後味も良かったです。
ところで、やはりスペイン映画だからか、配色やらデザインが派手ですねー。
ビーチパラソルのような傘とか、マヌエルのアパートの壁紙とか。
おしゃれだなぁ〜と思っても、ちょっと日本では真似できません・・・。

ギフト
2000年アメリカ監督:サム・ライミ
出演:ケイト・ブランシェット、ジョニヴァンニ・リピシ、キアヌ・リーヴス、ヒラリー・スワンク
(´▽`)つ★★☆☆☆
<ストーリー>
3人の息子と暮らすアニーは超感覚を持ち、その能力を使って占いの仕事をしていた。
ある日、息子の教師の婚約者が失踪した。
警察の捜査が行き詰まり、娘の父親がアニーの元を訪ね、協力して欲しいと依頼する。
※ネタバレ含んだ記事です。
B級のホラー映画ではお馴染のサム・ライミ監督の作品で、A級サスペンスに挑んだのかな?と勘ぐってみた。
この映画はホラーというよりも、サスペンスの要素が強い。
こういう手の映画には、少々私は辛口になってしまうので、ツッコミ満載レビューはご容赦を・・・。
アニー役のケイト・ブランシェットは、役どころにピッタリだと思います。離婚ではなく、未亡人になってしまい、3人の子供を育てていかなくてはいけない不安感というものが上手く伝わってきました。
で、カードで占いをするんですけれど、カルトちっくな雰囲気ではなく、ごく普通の部屋の隅で占なっている・・・というところが占いで自立していこう!という勢いがない具合でアニーを表わしていますね。
しかし、ESPカードは占なうためのカードではありませんねー。
見た目、変った図形が出てくるのでインパクトを感じるかもしれないんですけど、そのカードで占なうのか?と、それがまず疑問だった。
まぁ、それは意図的なのかもしれないんですけども・・・。
アニーの元に来る客は、ダンナに暴力を振るわれている(DVですね)女性に、子供の頃のトラウマに苦しんでいる男性。一応、カードで占なうんだけれど、なんだか頼りなさそうな占い。
結局よくわからないけれど・・・てな感じで、要するに「悩み相談所」みたいな感じ。
超感覚とカード占いの組み合わせという、一見最強タッグな組み合わせなのに一般的なことしか言わないのにはガックリ・・・。
そこへ、女房を殴るDVダンナのキアヌ・リーヴス登場!なんて言うか・・・キアヌってもともと誠実そうな顔つきだから、髭ボーボーでも無理があるのよね。
これはミスキャスト。
脇役と言っても、この映画では重要な登場人物(私たちの目を誤魔化すために)だから、この配役がどんでん返しを弱めてしまう原因になったと思う。
キアヌの女房役がヒラリー・スワンクで、彼女のキッとした表情はキアヌに負けない強さがありそうで、DVを甘んじて受ける女房としても説得力がないなぁ〜と私は思ったのですが・・・。
アニーは占いの時よりも、夢や一瞬よぎる映像で予知する能力が強いんですね。フラッシュのように見せられる映像なんかはインパクトがあっていいんだけれど、音で驚かす手法は・・・やめて欲しかったorz
山場はやはり失踪した女性の捜査協力の辺りから。
夢で女性が遺棄されている場所の夢を見る。
夢なので、少し幻想的な感じでキレイ。
そういう幻想的なムードにケイトはピッタリな雰囲気だし、まるでファンタジーのようでもあるシーンです。
その場所の特徴を警察に話して、一気に事件は解決だと思わせておいて〜・・・サスペンス好きなら、これがオチであるはずがないと悟れますね。
しかも逮捕されたのは、頑張って悪そうにしていたキアヌですし。
サスペンスのお約束としましては、バレる前に本当の犯人はアニーを殺害しようとするだろう、と読めます。
そして、読んだ通りの展開。
さて、唯一の友だちだとアニーにすがっていたトラウマを抱える男性を、アニーは心から支える意志もなく、話を聞いて欲しいと切羽詰ってた時も裁判のことで頭がいっぱいだったせいで突き放すんですね。しかし、その男性はアニーの命を救うんです。
一方で、アニーは救えたんでしょうか?
DV受けながらもダンナを愛していた女性のダンナを冤罪で刑務所にぶち込んでしまったし、トラウマを抱えた男性は、トラウマの元であった父親を殺害し自殺。
アニーは人の人生を占なって、フォローできるほど責任感はないし、自分の能力(ギフト)を完全に肯定できない不安があるのでしょう。
なんせ、カードで占なってる時は決まって「よくわからない」と濁してましたからね・・・。
まぁ、ESPカードじゃ読めんわな・・・と突っ込んでみる。
結局、いくらギフト(能力)があっても、それを活かすか否かはその人次第・・・ってことですね。

フラットライナーズ
1990年アメリカ監督:ジョエル・シューマカー
出演:キーファー・サザーランド、ジュリア・ロバーツ、ケヴィン・ベーコン、ウィリアム・ホールドウィン、オリヴァー・プラット
(´▽`)つ★★★☆☆
<ストーリー>
シカゴ医大の学生ネルソンは、臨死体験をしようと自ら実験台になる計画を仲間に打ち明け、レイチェル、デヴィッド、ランディ、ジョーらが協力することになった。
大学の美術館に集まった彼らは人工的にネルソンの心臓を停止させ、1分後に蘇生させた。
死後の世界から戻ったネルソンは、記憶の中の不思議なイメージを見たと語る。
そして、他の者も次々実験台になると言い出す。
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今では、到底叶わないかもしれないアクターの共演・・・と言って良いほどの顔ぶれです。
設定が学生ってのも、年月を感じさせるわぁ。
それで、結構映画の内容がかなり斬新、奇抜。
この作品は、ネルソンの「臨死体験」という取っ掛かりから始まるので、オカルトちっくなのかな?と思っていました。
しかし、ネルソンが蘇生すると、どうも死後の世界を覗いてきた・・・ということではないのですねー。
どうやら、人間の記憶を司っている部分の脳に何らかが影響して、心肺停止中に記憶の隅に追いやったものが甦ってくる・・・というお話。
いや、これはオカルトよりも恐いかもです。
よく人の死の瞬間は自分の人生が走馬灯のように映し出されるとか、客観的に自分の人生を見るとか言いますね。
そういったことに近い話ではあるんだけれど、罪悪感が伴う、もしくは悪しき記憶だけが甦ったら・・・?
ネルソンを始めとする被験者は、それぞれ幼い頃の思い出が甦ってくる。しかも、その思い出によって心に痛みも伴う。
忘れようとしてた思い出がリアルに・・・。
中には、自分は気づかなかったにせよ、自分の行為で誰かを深く傷つけていたことを思い知らされる者もいた。
で、この作品は、人間が生きていく上で何が大事なのかを説いてると思うんですよ。人生が終わる時に一番不幸なのは、自分の人生を後悔することだろうと思う。
生きていれば、やり直しはできる。
傷つけた人に謝ることもできる。
自分を支えてくれた人に感謝を表わすこともできる。
一日、一日を大切に有意義に生きていかなきゃな・・・と、この映画を観てそう感じました(・・・って言っても、この映画観たのが十数年前なんですけどもね)
でも、それを変に説教臭く説いてる映画ではないってところが良い。
映画としてもスリリングな展開で、観る者をぐいぐい引っ張っていきます。
舞台が大学の美術館ということで、雰囲気が抜群なんですよね。
全体に薄暗いシーンなんですけれど、わずかな光に照らされてできる陰影がわざとらしいセットよりも効果抜群です。
ちなみに「フラットライナーズ」とは、心臓停止を意味する言葉です。




















