息子のまなざし
2002年ベルギー=フランス監督:ジャン=ピエール・ダルエンヌ、リュック・ダルエンヌ
出演:オリヴィエ・グルメ、モルガン・マリンヌ他
(´▽`)つ★★★★☆
<ストーリー>
職業訓練校の木工コースの講師をしているオリヴィエが、コースの受講を出願している少年の書類を見て動揺する。
なぜなら、5年前に自分の息子を殺害した少年だったからだ。
好みの分かれる映画かもしれない。
小難しく理屈をこねて映画を語りたい人には、うってつけの作品と言えよう。
娯楽性を大前提にしたハリウッド映画では、こういうタイプの映画を制作することは不可能かもしれないし、単刀直入の娯楽作品を好む人にもお奨めできない。
映画ではオリヴィエの動揺している訳を途中まで一切語らない。情報を得て大筋を知っていたなら、オリヴィエの動揺の理由は想像できるけれども・・・。
そして、この映画は一貫して安易な手法では説明していかない。
まず、殺されてしまった息子の写真が飾ってないし、回想シーンもない。
だから、観る者はオリヴィエの息子の顔を知ることはない。
もしも大筋などをまったく知らずにこの映画を観たら、しばらくの時間は頭の中が「???」状態かもしれない。
加えて、尋常じゃないほど台詞が少ない。ナレーションもなければ、状況を予測できそうな効果音もBGMもない。
つまり、観客ひとりひとり、登場人物の表情や仕草をじっと見つめることになる。
そしてそれぞれの頭の中で、いろいろ推し量ったり想像したりしていく。
映画の中では、オリヴィエが息子を殺した少年に復讐するのではないか?という匂いを漂わせる。
しかし、当のオリヴィエの考えがわからない。
これは私たちの日常と同じ状態なのだ・・・自分以外の人の考えはいつだってわからない。
いつも気持ちを読もうと、表情を見たり、声のトーンで感じたり・・・それと同じ状況を映画で見事に作り出している。
途中、オリヴィエは少年の後をつけたり、少年の部屋に侵入するシーンがある。
自分の息子を殺した少年への興味というものだろうか?
「こいつは、いったいどんなヤツなんだ?」と・・・。
どうにも救いようのない少年だという確信が欲しかったのだろうか?と、思えた。
オリヴィエに対して斜に構えた態度で素行の悪いヤツなら、オリヴィエも楽だったかもしれないが、少年は大人しくて仕事にも真面目に取り組んでいる。
・・・そんな憎しみと赦しとの狭間に立っているオリヴィエの戸惑いは感じる。
単純明快な映画が好みの人は、たいくつな映画になることは間違いない。
実際にラストは思い切り中途半端な感じでエンドクレジットに入ってしまうし、オリヴィエと少年の関係や今後はどうなるか、匂わせる雰囲気もまったくない。
でも、私はラストの切り方は凄いと思ったし、あのラストじゃなきゃダメな気がした。

この2人の間には結末など、まだ必要はないだろう。
そして、愛と憎しみは紙一重なんだということで、彼らに建設的な関係が続くことを願って私は観終えたという感じです。

















