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夜よ、こんにちは

2006_0365.jpg2003年イタリア
監督:マルコ・ベロッキオ
出演:マヤ・サンサ、ルイジ・ロ・カーショ、ロベルト・ヘルリツカ他

(´▽`)つ★★★☆☆

<ストーリー>
1977年、夫婦を装った男女がアパートの下見に訪れる。
この2人は、極左武装集団「赤い旅団」の一員だった。
1978年3月16日、テレビはモロ元首相が誘拐されたニュースを伝えていた。
モロ元首相を誘拐したのは「赤い旅団」のメンバーたちで、誘拐したモロを木箱に入れ、アパートに到着する。
この中でただひとりの女性メンバーであるキアラは、モロ元首相を部屋に監禁する任務だった。


1978年に起きた「赤い旅団」による、元イタリア首相でキリスト教民主党党首アルド・モロの誘拐・殺害という実際に起きた事件を映画化。
正直申しまして、私は「赤い旅団」もこの事件も知りませんでした。
政治的なことにはまったく疎いので、予めイタリア政府の歴史や「赤い旅団」について調べてから見るべきだったかな?・・・と反省。

yoru3.jpgこの映画は、やはり最低限「赤い旅団」について知っておいた方がいい・・・ということで、映画を観終わってから調べてみました。

赤い旅団
イタリアの極左武装集団で、当初は「衝突の音を高めよ」のスローガンの下1970年に創立し、学生運動をしていた者も参加。
ミラノやトリノで極右勢力に反対する労働組合を支援する活動で始まった。
1971年に円に星のシンボルマークが作成され、赤地に白で星が描かれている。
それまで行ってきた活動では効果がなかったため、1974年には「国家への攻撃」を決定し、国家に対する戦争を企てる。
ジェノヴァで検察官の誘拐を行い、衝突が激しくなる。
そして、国家はスパイを潜入させるなどの手を打ち、逮捕者が出る。
1976年に、赤い旅団の最初の犠牲者が出る。検察官のフランチェスコ・ココの殺害。
それ以降、若年層の高い失業率や挙国一致体制への不満などの背景に勢力拡大を狙うも、労働者からの指示が得られず過激武装闘争に傾斜していく。


yoru2.jpgでは、なんでモロ元首相が誘拐されたのか?
アルド・モロ氏は右派と共産党の歴史的な合意の立役者であり、赤い旅団から「反動勢力」「修正主義者」と批難されたプロレタリアートの代表との耐えがたい馴れ合いの象徴として映った。
モロ氏は共産党党首エンリコ・ベルリングーと協議し、イタリア共産党に政権の道を開く合意を結び、共産党を含む与党5党連合の連立内閣が承認される3月16日に誘拐された。

yoru.jpgで、この映画はイタリア国民なら誰もが知っている(らしい)事件なので、これらのコトの詳細は省いている。
映画のほとんどがアパートの一室で展開され、メンバー同士の信念や思想、それによる対立までも描かれている。
特に、唯一の女性メンバーであるキアラの視点で、この事件を見つめていく形だ。

メンバーが誘拐を決行する日、ひとりでTVのニュースを待ち続け、報道されるや成功に大喜びするキアラ。
しかし、彼女はメンバーの中で社会との接点を持ち続ける役割でもあり、自分たちが行ったことに対する一般市民の反応を肌で感じていくのだ。
「本当に自分たちが行ったことは皆のためになってるのか?」
疑心暗鬼になり、キアラは信念が揺らいでいく。

そして、キアラの同僚の青年が書いた、まるでキアラたちを描いているような「夜よ、こんにちは」とタイトルを付けた原稿を読む。
この「夜よ、こんにちは」は、モロ氏が誘拐され運ばれてきた時に足元に落ちていた本のタイトルでもある。
監禁されているモロ氏の、朝も夜もわからない状態を象徴するようなタイトルを劇中に何度も登場させているんですねー。

yoru4.jpgキアラは架空の人物でしょう。
だからこそ、キアラは同僚の書いた「夜よ、こんにちは」のシーンを想像して、史実に忠実な映画の方の「夜よ、こんにちは」との交差をさせる、いわば監督の・・・いや全イタリア国民の「こういう結果だったらよかったのに」という思いを込めるための人物じゃないかと思えた。
キアラは赤い旅団のメンバーだけれど、この事件に関して疑問視していくバランスの取れた人物という設定なのです。

モロ氏は誘拐されて55日後に射殺され、亡くなりました。
イタリアの政治の歴史はよく知りませんが、赤い旅団がモロ氏を処刑したところで、何も変えることができなかったばかりか、一般市民からも批難されることになりました。
革命・・・と叫べば何かカッコいいなんて思いがちですが、自分たちの権利や尊厳を守るために戦ったパルチザンと同列視はできないでしょう。

劇中、誇らしげにパルチザンの歌「カチューシャ」を大勢で歌うシーンがありましたが、ドイツに抵抗したパルチザンはイタリア人の誇りなんだということが伝わってきます。
赤い旅団への皮肉が込められているようなシーンでした。

いやぁ〜本当に、映画でいろんなことを知るきっかけになりますね。
「赤い旅団」は過去のものではなく、今も新「赤い旅団」が活動しているようです。
テロリストと化したようで、現在進行形の問題なんですね。


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2007年02月23日 映画ま〜わ行 2000年以降 トラックバック:0 コメント:0












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