ゴースト・ドッグ
1999年アメリカ監督:ジム・ジャームッシュ
出演:フォレスト・ウィテカー、ジョン・トーメイ、クリフ・ゴーマン
(´▽`)つ★★★★☆
<ストーリー>
殺し屋のゴースト・ドッグは、日本の武士道精神を語った「葉隠」を座右の書にしていた。
彼は、自分の命を救ってくれたマフィアのルーイを主として敬い、忠実を尽くしていた。
ある日、ルーイのボスであるヴァーゴの娘ルィーズに手を出したフランクを射殺しろと、ルーイからの命令がきた。
ルィーズがフランクと一緒にいたが、ゴースト・ドッグはフランクだけを射殺し、ルィーズには何もせずに去った。
ところが、ルーイはヴァーゴの右腕のソニーから、ファミリーの身内であるフランクを殺害したゴースト・ドッグを始末しろと命じられる。
「デッドマン」の監督ジム・ジャームッシュは日本好きでも有名で、この映画は「葉隠」の文を引用しながらストーリーが展開する。
「デッドマン」でも音楽にインパクトを与えていますが、この作品もラップがマッチしていてとても良い。
その音楽はRZAが担当し、劇中にチョット出演している。
まず、「葉隠」という書は、佐賀鍋島藩に仕えた山本常朝が口述した内容を書にまとめたもの。江戸時代では、太平の世を壊すと考えられたために禁書になった。
しかし、明治以降の戦争時代は重要な書となったそうで、三島由紀夫も座右の書にしていたということです。
映画は、「武士道と云(いう)は、死ぬ事と見付けたり」という一文で始まります。
これは「死」を喩えにして、それだけの覚悟を持って事に臨めという意味合いであり、それを映画の主題にしてるという風に読み取れます。
「デッドマン」では、ネイティブ・アメリカンのスピリットに焦点を当てていましたが、この作品は侍スピリットに焦点を当てているんですね。
だからか、「デッドマン」で出演していたネイティブ・アメリカンのノーボディ役の俳優さんもチョッと出てます。
この映画に「羅生門」というタイトルの本が出てきます。この本は、ルィーズからゴースト・ドッグに渡り、次に公園で出会ったバーリーンという子に渡り、ルーイに渡る。
で、バーリーンが芥川龍之介の「藪の中」が面白かったとゴースト・ドッグに感想を言う。
ルーイが複雑化した事に対して「何が何だか・・・」とボヤくんですが、それこそが「藪の中」という物語を言い当ててるような言葉なのもミソ。
それに、ゴースト・ドッグがフランクを殺害し、その側にルィーズがいた・・・という設定も「藪の中」に似てますねー。
それと、テレビのアニメがやたら出てくるんですが、よく見ていると登場人物のやってることを皮肉ってるようなんですよ。こういうセンスが面白いですね。
さりげなく、日本っぽいカレンダーがマフィアの事務所に貼ってあったり、ゴースト・ドッグのTシャツに「すべて熟知」なんてプリントされてあったり、そういう日本チックなアイテムを探すのも楽しい作品です。
まぁ、ツッコミどころも無きにしもあらずですが、のそっとしたウィテカーが侍スピリットに傾倒しているって意外性は面白いし、味があって良かった。
ゴースト・ドッグとルーイの連絡の手段が伝書鳩っていう、アナログにもならない通信方法も感嘆しちゃいました。
そして、フランス語しかわからないアイスクリーム屋のレイモンとフランス語は知らない英語のゴースト・ドッグの成り立ってない会話も、「以心伝心」ってことでしょうか?面白いなぁーと思いました。
萎えそうな調子外れた、アイスクリーム屋の音楽は笑えます(´▽`*)

派手なアクションを控えていたためか、メリハリが乏しく見えてしまうんでしょうが、派手なアクションは「キル・ビル」みたくなって「葉隠」が薄っぺらになっちゃうでしょうから、こういう造りで正解だと私は思います。
ところで、むしろ戦後の日本は「葉隠」の武士道を捨て徳川時代の太平な世を追及する一方で、国に忠誠を誓い戦争に駆り立てられているアメリカ国民の方が「葉隠」の精神を求められてる気がします。
もしかしたら、それを風刺するような作品なのかもしれません。
オチというか、ラストは「あ〜、なるほど」とニヤリ ( ̄ー ̄)

















