ミッシング
1982年アメリカ監督:コンスタンチン・コスタ・ガプラス
出演:ジャック・レモン、シシー・スペイセク、メラニ−・メイロン
(´▽`)つ★★★★☆
<ストーリー>
1973年、チャールズ・ホーマンと妻ベルは、世界の現状を知るためにアメリカを出て、南米に住んでいた。
9月のある日、クーデターが起こり、戒厳令が出され緊迫した状況になった。
数多くの検問所ができ、空港は閉鎖され、電話も不通。
そんな中、友人の様子を見に行ったべスが家に帰宅すると家の中が荒らされ、チャールズの姿がなかった。
チャールズの失踪を知ったニューヨークにいる父エドワードは、現地に飛んだ。
大使館に捜索を依頼するが、情報がないまま時間だけが過ぎていく。
'82年度カンヌ映画祭グランプリ受賞作品。
1973年、南米チリで起きたクーデターで失踪したアメリカ青年の事件を基に書かれた、トーマス・ハウザーの「チャールズ・ホーマンの処刑」を映画化した作品。
この映画の背景を知らないと、映画が訴えている本質は難しくて見えにくいかもしれない。私もそうだったけれど、チリにクーデターが起きた事実とその問題点は知らない人は多いかと思います。
チリは1970年、民主的な選挙でアジェンデ人民連合政府が誕生したが、1973年にクーデター勃発。
左派勢力、民主的活動家などを弾圧し、約3100人が死亡。
そして、アウグスト・ピノチェットが大統領に就任した・・・と。
けれども、ここで大きな問題になっているのがアメリカ政府の関与。
2005年のアメリカ議会で、
クーデターにはアメリカCIAと国際電信電話会社(ITT)が共謀し、人民連合政府打倒の陰謀に加担した。
クーデターに際して、当時の大統領ニクソンは48時間前には知っていた。
アメリカの艦隊が合同演習の名目でチリ沖に出動していた・・・などが公表された。
クーデターが勃発したのは1973年9月11日。
いわば、アメリカが起したテロ行為もまた9.11なのです。
映画は、チリの独裁的な政権を樹立させることにアメリカが関与したことを問題提議し、作品としても真摯に作られている。1970年代の初めは、アメリカの若者の価値観に変革が起きた時代。
その流れでアメリカを飛び出した息子夫婦とは疎遠になっていた父親エドワード。
息子の失踪で、息子の妻ベルと一緒に捜索を始めるんだけれど、どうもギクシャクして意見が合わない。
新しい価値観が理解できない父エドワードだけれど、なんとしても息子を探し出そうとする内に、ベルと心が通い合っていく過程が実に丁寧に描かれています。
大使館はあくまでも知らぬ存ぜぬを言い続ける。エドワードとベルは、ようやく逮捕された人が収容されている競技場に入ることができ、チャールズを探す。
エドワードがマイクを使って、たどたどしく昔話を始めていく。
スタンド席に座ってる人をグルリと見回し、必死にチャールズの姿を探す2人。
「ここにいてくれ!」という期待がこもった2人の表情は、ジャック・レモンとシシー・スペイセクの演技力の賜物。
そして、捜索をしていく内、知っていく事実に対する2人の演技は圧巻。
ラストの方で、エドワードと大使館の人物が交わす会話がアメリカという国の本質を曝け出しているのでは?と思います。「貴方の息子ではなかったら、この事件に関心も持たなかったはずだ」というようなセリフがあります。
まさに、私たちがチリのクーデターがあった事実とその背景に無関心であることが、アメリカの陰謀の勝利を意味していると思えました。
アメリカという国の国益は、大企業の利益と切り離せないようです。
一部の人間の利益を守るために、犠牲を払わされる人々がいることを承知しながらも実行する。
それがアメリカです。
※この映画の基になったチャールズの失踪事件に関しての詳しいことは、こちらで読んでみて下さい→「米青年チャールズ・ホーマンの失踪事件解明に新たな一歩」
映画の内容についても詳細が載ってます。
(ネタバレがありますので注意)

















