タクシードライバー
1976年アメリカ監督:マーティン・スコセッシ
出演:ロバート・デ・ニーロ、シビル・シェパード、ピーター・ボイル
(´▽`)つ★★★★☆
<ストーリー>
毎日街をタクシーで流す運転手のトラヴィスは、世の中が汚れ切っていると感じ、憤りが増していく。
堕落した世の中を綺麗にしていく使命が自分にはあると思い込んでいくトラヴィスは、行動を起す。
古き善きアメリカという時代の価値観が揺らぎ、アメリカ人は触れたがらない、ベトナム戦争や政治の腐敗などに象徴される悪しきアメリカの暗黒の'70年代に数多く登場した「アメリカン・ニューシネマ」
ヒーローなき時代を象徴する作品がこの「タクシードライバー」だと思います。
孤独感を抱えた都会を演出する素晴らしい音楽は、バーナード・ハーマン。
この作品が遺作となった。
この作品は、「ミスター・グッドバーを探して」の対極に置きながらも根が同じという印象を受けました。国内ではドラッグや性的乱れの蔓延、ベトナムは泥沼、政治は腐敗しきっていた'70年代前半のアメリカ。
主人公トラヴィスはベトナム帰還兵ということで、「正義」と「愛国心」の下で戦争を体験してきたひとり。
そのトラヴィスが国に戻り、目の当たりにするものは汚れ切っているアメリカなのです。
彼がタクシーを流しながら目にするものは到底「正義」とは程遠い姿。
時代背景を鑑みれば、そんな汚れた祖国のために命を賭けて戦争してきた兵士の憤りは悟れる。
そして、トラヴィスは内気でひとりで溜め込むタイプなのか、大統領候補の事務所にいる運動員べッツィに惹かれるんだけれど、不器用過ぎてせっかく誘ったデートなのにポルノ映画館に連れて行って嫌われる。ご機嫌を取ろうとするも、ことごとく失敗。
元々社交的ではないトラヴィスは、益々自分の世界に浸り込んでいく。
特に印象的なのは、鏡に自分を映しながら何かを挑発する姿に酔いしれているシーン。
「ああ、こういうヤツっているよね」と思えるから、やけに恐く感じた。
きっと男性は、どこかトラヴィスに共感できる部分があるんでしょうね。「こんな世の中クソ食らえだ!」って、何かをぶち壊す願望は心の中に抱えているのかもしれませんね。
トラヴィスは誰の心にも存在していた・・・ということかもしれません。
それが良いことか悪いことかの判断の曖昧さは、この映画のラストが象徴しているんではないでしょうか?
モヒカンのトラヴィスがヒーローになるのは、アメリカの病理的な部分への皮肉のような気がしました。
さて、'70年代のハリウッドは混沌とした時代のせいか、「アメリカン・ニューシネマ」の他にオカルトやパニック映画もヒットしました。
やはりネガティブな映画が多かったようですね。
そんなところに、「ロッキー」の登場。
マッチョな男がアメリカの強さの象徴になった・・・ここら辺の境界線に「タクシードライバー」があったことも、興味深いです。
その時代に主流となったハリウッド映画を観れば、アメリカの深層心理が垣間見れます。

















