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ニュールンベルグ裁判

1961年アメリカ
監督:スタンリー・クレイマー
出演:スペンサー・トレイシー、バート・ランカスター、リチャード・ウィドマーク他

(´▽`)つ★★★★☆

<ストーリー>
戦後のドイツ、ニュールンベルグ。
アメリカの判事ヘイウッドを裁判長に、ナチスのためドイツの法律を変えて、ユダヤ人虐殺に至らしめた司法関係者たちを裁く、国際軍事裁判が開廷された。
被告の中には、世界的法律学者ヤニングの姿もあった。
連合軍側から派遣された検事が責任を追及し、ドイツ側の弁護士が反論していく・・・。


アビ−・マンの第三帝国で司法大臣だった男の戦争責任を描いたTVドラマを基に、映画化した作品。
この作品で弁護士役をしたマクシミリアン・シェルは、多くの男優賞を受賞した。
そして、処刑されたドイツ軍人の未亡人をマレーネ・ディートリッヒが気高く演じています。

saiban.jpgまず、「ニュールンベルグ裁判」は、1945年11月20日から1946年10月1日まで行われました。
裁かれる罪として、「平和に対する罪」「人道に対する罪」「通常の戦争犯罪」が主で、ナチス、ゲシュタポ、ナチ親衛隊、保安官などが犯罪団体として指定され、ドイツ国家自体は対象外であったことが特徴とされています。
この作品では、司法関係者を裁く裁判を描いています。

そもそも、戦勝国が裁く裁判が公平であるはずがない・・・というのが私の持論。
ニュールンベルグ裁判でもそうですし、東京裁判も連合国による「報復裁判」であったという認識の下、この作品をクールに観てみました。
なんせ、アメリカがこの裁判を描くわけですから。

saiban5.jpg戦勝国側が用意した裁判長と検事。
そして、当時国際法にはなかったジェノサイドを裁く法律を「人道に対する罪」と無理やり作って当てはめ、しかも事後法で裁こうとするわけです。
作品では、身障者に対する「断種法」の施行と実施、ユダヤ人とのあらゆる接触を禁じる法律なども含め、「人道に対する罪」として立件しています。

その罪に対する証言と反対尋問の壮絶さは凄かったのですが、これを軍事裁判で裁くことなのか?と疑問が・・・。
法治国であるドイツの法律に対し、他国がその法律の是非を問うこと自体、戦勝国の傲慢さが垣間見え、とにかくナチスを断罪しようと必死であることが伺えた。

saiban2.jpg弁護士がヤニングと交わす会話の中で、広島や長崎で多くの子供や女性を虐殺した連合国の正義とやらで裁かれる不条理を訴えていたことが印象的でした。
この「正義」とはいったい何なのだろう?ということを考えさせられますね。
アメリカの正義が絶対のはずもなく、ドイツにはドイツの、日本には日本の正義と誇りがあるはずなのです。
しかし、連合国による裁判はそれらは否定され、当時国連にも「何を以て侵略とみなすか」の定義もないまま、ドイツも日本も侵略国というレッテルを貼られました。
(国連で「侵略」の定義の合意をみたのは1974年)

saiban6.jpgそして、この作品の山場はやはりホロコースト。
検事はユダヤ人の収容所の凄惨な様子を撮影したフィルムを裁判所で見せます。
それを見つめる被告人たち・・・検事は声高に「600万人のユダヤ人が虐殺された」と力説。
ニュールンベルグ裁判こそホロコーストというプロパガンダの源泉であったと言われるように、アメリカはあらゆる表現を尽くして「凄惨なホロコースト」を人々に信じさせた・・・らしい。
戦争は国家間で行うものであるのに、ニュールンベルグ裁判はドイツの戦争を裁いたのではなく、ナチスなどの犯罪組織が行ったユダヤ人ジェノサイドのみを「人道に対する罪」で裁いたのです。

この作品では、アメリカ絶対正義を描いているわけではなく、ある程度バランスを取っていることが評価できました。
司法関係者に対し、ジェノサイドを見て見ぬフリをしていたと検事が断罪すれば、弁護士はそんなナチスの存在を知って協力してきた国々も断罪されるべきだと反論。
客観的に考えれば至極もっともな反論ではあるけれど、それが通じない時代と背景であったのだということですね。
すべてはアメリカの思惑で進行していた・・・東京裁判も然りです。

さて、この作品はとても贅沢なキャスティングですねー。
私は初めてマレーネ・ディートリッヒの出ている作品を観たんですけど、存在感が凄いです。
それと、オープニングの軽快な歌に相反するように、鍵十字のマークが爆破されるシーンは強烈で、印象に残りました。

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2007年07月12日 映画た〜は行 1970年代以前 トラックバック:- コメント:-