プロヴァンス物語 マルセルの夏
1990年フランス監督:イブ・ローベル
出演:フィリップ・コーベール、ナタリー・ルーセル、ジュリアン・シアマカ他
(´▽`)つ★★★★★
<ストーリー>
1895年、マルセルは南仏のオーバーニュで生まれた。
父ジョゼフは小学校教師、母オーギュスティーヌはお針子をしている。
弟ポールが生まれ、マルセルが3才の時に一家はジョゼフの昇進でサン・ルノーに引越す。
1900年、叔母のローズが結婚し、マルセルに妹ができた。
そして、マルセルが9才の夏、病弱なオーギュスティーヌに新鮮な空気のもとで過ごさせるため、一家は叔母夫婦と田舎の別荘を借りることに。
そこはマルセルにとって、生涯で最も美しい日々の始まりだった。
「愛と宿命の泉」の原作者、M・パニョルの回想録を描いた作品。映画は夏でありながら、私は真冬の吹雪の中、この映画を観にいそいそ出かけた記憶があります。
映画のオープニングは、映画館の外が吹雪いていることも忘れさせるほどの壮大な景色と初夏を感じさせる音楽で、のっけから映画の世界へと引き込まれていった。
「プロヴァンス物語」の第一部でもある「マルセルの夏」は、「父の栄光」という原題の通り、マルセルから見た父親を中心に描かれている。
ともすればノスタルジックで甘いだけの映画になりがちなところ、ほどよくコミカルでテンポがいいのも、この映画の魅力。
この映画は思い出をマルセル自身が語っている。慈しみ溢れた両親への想いが回想の中で美しく語られ、羨ましいほどに素晴らしい家族だということが映画の序盤から紡ぎ出される。
そして、中でも印象的なのは叔母の恋愛シーン。
フランス独特のノスタルジックな音楽とピッタリ合い、まるで絵画を見ているような感覚になる。
で、この映画の中心はなんと言っても別荘での日々。
自然たっぷりの中に放たれた子供は、やはり冒険心が疼き始める。
マルセルはこの自然の中で多くを学び、多くを知って少し大人になっていく。
完全無欠だと信じていた父親をひとりの人間として見れるようになった時、マルセルは幻滅と同時に等身大の父親を理解し、尊敬する気持ちへと変っていった・・・男の子にとって父親に対する考え方の変化こそ、大人への一歩なのかもしれない。
この映画には嫌なヤツは一切出てこない。個性的で変わり者もいるけれど、思い出は美しい・・・という象徴だろう。
大事に大事にしていた思い出を映画は見事に応えて描き出し、観る者の中にも眠っている美しい日々の琴線に触れる。
宿題に追われ、毎朝眠たい目をこすりながらラジオ体操に参加したことすらも、楽しく素晴らしい思い出のような気がしてくる。
映画を観終わって、吹雪の中を軽い足取りで歩いた記憶もまた、このレビューを書きながら思い出しました。

















