ドゥ・ザ・ライト・シング
1989年アメリカ監督:スパイク・リー
出演:ダニー・アイエロ、オジ−・ディヴィス、スパイク・リー
(´▽`)つ★★★★☆
<ストーリー>
ピザ屋のオーナー、サルは2人の息子と共に近所の黒人たちにピザを売っていた。
その年一番の暑いある日、客のバキンは店の壁にイタリア系スターの写真しか飾られていないのを見て、黒人スターの写真も飾れと抗議するが聞き入れられず、店をボイコットすると言い出した。
そしてサルは、大音量の音楽を巨大なビート・ボックから流し、店に入ってきたレディオ・ラヒームに、音楽を止めないとピザは売らないと言い出す。
その日の夕方、店にバキンとレディオ・ラヒームが乗り込んで来たのだが、騒ぎはエスカレートしてしまう。
人種差別を冷静に、しかも皮肉を込めて黒人であるスパイク・リーが作ったことで話題となった作品。
後に、アメリカのロスで暴動が起きたけれど、この映画の言いたいことを理解すれば、また違った視点で事件を考えることができるはず。
アメリカは移民の国。それは誰もが知っているし、実際に様々な人種が移民としてアメリカに渡り、その子孫が○○○系アメリカ人として、生きている。
けれど、その中で黒人は移民というよりも「奴隷」として搾取され、アメリカに渡ってきた・・・という歴史があり、他の民族が自分の意思で移民したのとは訳が違う。
そういった意味で、黒人は長年虐げられた存在ではあった。
それをスパイク・リーは、あえて黒人である自分たちの祖先は「奴隷」であったという意識が代々根付いているという、黒人たちの被害者的アイデンティティーを斜めから描いたのでは?思う。
見るからに映画全体が暑苦しい。そんな中で、親子でピザ屋を続けているサム。
息子たちに店を残そうと、頑張って働いているイタリア系のアメリカ人。
一方で、黒人の若者は道でつるんでたり、道端で椅子に腰掛けてはあれこれ雑談なんかしている。
そして、向かいの韓国人の店に難癖つけたりしてるくせに、自分たちは働きもしない。
そう、この映画に出てくる黒人はおおよそ熱心に働く者は皆無。
自分たちも他民族を小バカにしながら、自分たち黒人への差別には敏感だ。
それが如実に描かれているのは、イタリア系スターの写真しか貼ってないことに腹を立てたバギンの「黒人スターの写真も飾れ」と言いがかりをつけるシーン。
それが黒人への差別であると言い切る。
普通に考えれば、ピザ屋だしオーナーはイタリア系なんだから当然だろ?という理屈は、差別という盾の前では通用しない。
日本人には、こういう差別は理解できない・・・と思うでしょうけれど、日本には在日朝鮮人がいますよ。彼らは、何かあれば不当な扱いで人権侵害だと糾弾していますね。
それをどう思うか?というところで、この映画が言わんとすることが理解できるでしょう。
「差別」という言葉は、時には使い勝手の良い言葉です。
それを振りかざされれば、どうしようもないことを彼らは知っています。
タイトルの「Do The right thing」は、いろいろな解釈ができますね。
普通に直訳すれば、「正しいことをする」なんですけども、その正しいことって何だかわかりません。
しかも、何が正しくて、何が間違ってるかなんて、誰にもわからないんです。
みんな、その日を必死に生きている・・・それ以上でもそれ以下でもない。
他に思いやる余裕なんぞないんなら、他からの思いやりも期待するなって感じでしょうか?
妬みは、期待から生まれてくるものだと。
そういう風に映画で言いたかったんだろうなと私は思います。
そして、この映画は感情論で差別を描かない、という意図がスパイク・リー自身が演じた青年に表わされていたんじゃないでしょうか?


フランスの友だち
1989年フランス監督:ジャン・ルー・ユベール
出演:リシャール・ボーランジェ、アントワーヌ・ユベール、ジュリアン・ユベール
(´▽`)つ★★★★☆
<ストーリー>
第二次世界大戦終結間近の1944年8月。
フランスのある小さな村では、アメリカ軍歓迎の準備で慌しかった。
アントワーヌ、ジュリアンの兄弟とギャビーの少年3人は、村にやってくる一連隊を見つけ、アメリカ軍がやってきたと村に戻り報告する。
しかし現れたのはドイツ軍で、村人たちは逃げ惑い、村長は銃殺されてしまう。
3人はこの惨事に驚き、村を飛び出す。
途中で盗みに入った農家の主人にギャビーが捕まり、残ったアントワーヌはジュリアンと一緒に母親のいるリオンへ行くことした。
2人の旅に迷子のシェパード犬が加わり、次いでドイツの脱走兵と遭遇する。
「フランスの思い出」に次いで、監督が自分の実の息子アントワーヌと映画初出演のジュリアンを起用したことが話題に。
アントワーヌは少し大人っぽくなってますねー。
ボーランジェも再度の共演となった。
少年たちの思い違いとは言え、誤った情報を村人に言ったせいで、村はドイツ軍に攻撃されて惨事になった。故意にやったことじゃないけれど、少年の罪悪感は「逃げる」という結論に達するのは致し方ないかもしれない。
大人に叱られる・・・そのことから逃れるという感じだろう。
アントワーヌは制服を着たままだったので、見つかりたくない一心で他人の家の外に干してあった服を盗む。
そして、なんと女の子の格好をするんです。
それが似合ってて可愛いんですよ。
「ボクのママのところへ連れていってあげる」とアントワーヌはジュリアンに言います、ジュリアンは母親が夫と別れた後に生まれた子供で、言わばアントワーヌとは異父兄弟。
そんな2人の旅に、犬が加わり、そしてドイツの脱走兵に出会う。
負傷していたドイツ兵は、アントワーヌにあれこれ命令します。
しぶしぶ命令に従ってパシリをさせられるアントワーヌなんだけれど、なぜかそのドイツ兵にジュリアンや犬までもが懐いていてアントワーヌはおもしろくない。
そうやって傷が癒えたドイツ兵はアントワーヌたちが2人でリオンへ行くと聞き、その旅に付き合うことにした。
パルチザンやドイツ義勇兵に遭遇したり、頭の上をアメリカ軍の飛行機が飛び交ったり、アントワーヌがジュリアンに「親なし子!!」となじっては兄弟ゲンカしたり。
「4年も戦争をしているのに、まだ争おうとするのか!」とドイツ兵に叱られながら、それでも3人と一匹の旅はどこか温かい。
実はこの脱走兵は、アルザス・ロレーヌ地方の出身ということで、その地方はフランスとドイツのハーフが多くいる土地だそうで、脱走兵にしてみれば自分に流れている両方の血が戦争している・・・という立場なんですね。3人と一匹は、ある村に辿り着く。
しかし人気がまったくない。
「きっと皆逃げ出してしまったんだろう」と思い、村に残ってる食料やらワインなんかを頂戴しちゃう。
そして、ドイツ兵が村にある教会の中に足を踏み入れた時、惨劇を目にする。
その直後、突然旅を共にしてきた犬とドイツ兵との別れがやってきた。
とても辛く悲しい別れです。
アメリカ兵に保護された兄弟・・・泣きじゃくりながら、アントワーヌはジュリアンに「おまえはボクの本当の弟なんだよ、今までごめんね」と告げる。
このラストシーンは、私の心に衝撃を与えました。
敵か味方か・・・それで戦争は成り立ってしまうのだな・・・と。
そこが本当は一番恐ろしいところなんでしょうね。
こういった映画ほど、戦争の愚かさを痛感させられます。
それにしても、やっぱりボーランジェは(・∀・)イイ!!

フランスの思い出
1987年フランス監督:ジャン・ルー・ユベール
出演:アネモーヌ、リシャール・ボーランジェ、アントワーヌ・ユベール
(´▽`)つ★★★★☆
<ストーリー>
母親が出産のため、9才の息子ルイはブルタニュー地方のルーアンスにいる母親の友人マルセルに預けられることになった。
実はルイの両親は離婚の危機を迎えており、ルイはそれを感じていた。
パリ育ちのルイは、何もかもが心細かった。
ルイを預かったマルセル夫婦も仲があまり良くなく、隣の家のマルチーヌという女の子にはからかわれる毎日だった。
ネタバレ含む記事です。
ルイを演じるアントワーヌは監督の実の息子で、とても可愛い♪そしてフランス映画らしく、田舎の風景がとても美しい作品。
子供にとって見知らぬ土地、見知らぬ人のいる場所で、親から離れる寂しさ以上に心細いもの。
そんな境遇に置かれてしまうルイは、繊細で大人の顔色を覗うようなタイプの男の子。
とてもじゃないが楽しい田舎生活と、ウキウキしている状態ではない。
食卓に乗せるウサギの皮を剥ぐ様子にもショックを受け、マルセルの家の裏にあるお墓にビビったりもする。
でも、何と言ってもマルチーヌという女の子とのエピソードが良いのです。マルチーヌもまた、幸せ満点な家庭の子ではない。
けれども、ルイとはまったく対照的で明るく強気に振舞っている。
そんなマルチーヌにルイはタジタジ・・・。
マルチーヌがルイのパンツの中にウナギを入れちゃって、それでルイはワーワー泣きまくる・・・そのシーンは結構私のお気に入り(*´∀`*)
そして、ルイはマルセル夫婦の辛い過去を知っていく。実はマルセルは、難産の末に子供を亡くしていた。
そうやって大人は自分たちの辛い出来事を隠しながら、表向きには何事もないように何とか振舞っていることに、ルイは不信感を抱く。
その不信感はルイにとって、たまらなくショックなことだったに違いない。
しかし、マルセルの夫から子供の話を聞かされ、その辺りから徐々に2人の間に情が通い始めるのです。
リシャール・ボーランジェは武骨そうでいて、でもどこか温かさを感じることができて、安心感を漂わす好きな俳優です。「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」に近いお話ですけども、マルセル夫婦の絆も絡め、ルイを通じて夫婦のすれ違った関係がほのかに希望を見出していくことを感じさせるラストもなかなか良い。
母親がルイを迎えにきた頃、ルイはちょっぴり大人になり、そして村を離れることを寂しく思うんですねー。
あんなに心細くてプルプルしていたような子が・・・。
帰っていくルイを見送るマルセル夫婦の姿が印象的で、ルイとの出会いが夫婦関係の再生へと繋がっていく。
まぁ、ルイを通してマルセル夫婦も描いた・・・という話でしょうけども、焦点が分散してしまったかな?という点は否めず。
それでも全編通して、温かさを感じる作品です。
それにしても邦題の「フランスの思い出」って不思議なタイトルですよねぇ〜、考えたら・・・。
フランス人のフランス国内でのお話でフランスの思い出って・・・(;・∀・)

















