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マルホランド・ドライブ

マルホランド・ドライブ2001年アメリカ=フランス
監督:ディヴィッド・リンチ
出演:ナオミ・ワッツ、ローラ・エレナ・ハリング、アン・ミラー

(´▽`)つ★★★★☆

<ストーリー>
深夜、車に乗っていた黒髪の女は、マルホランド・ドライブで突然運転手から銃を向けられた。
その時、スピードを出して走ってきた車がぶつかり、事故を起す。
女は傷を負ったが、車から出て高級アパートに逃げ込み、外出しようとする住人の部屋へ潜り込んだ。
そこへ部屋の住人である叔母が遠出をしている間、部屋を借りた女優志望のベティがやってきた。
その部屋にいた見知らぬ女を叔母の知り合いだと思ったベティだったが、リタと名乗った女は記憶を失っていた。
女のバッグには大金と青い鍵が入ってたが、身元がわかるものはなかった。
ベティは女の身元を調べることに協力する。
やがて、女は「ダイアン」という名を思い出すが・・・。


※ネタバレ含んだ記事です。

ディヴィッド・リンチの作品・・・ということで、一筋縄ではいかないと覚悟をして観ましたが、この作品は案外わかりやすかったです。
この作品は「悲恋」がベースになっていて、凄く胸にくるストーリーです。
これほど悲しい話は、最近観ないな・・・というくらい。
ナオミ・ワッツの演じ分けも素晴らしい。

md.jpgまずはオープニングで、楽しそうに踊る若者たちが出てきて意表を突かれますが、何の脈略もないわけがありませんねー。
実は、このオープニングに大きなヒントが隠されてるんです。
つまり、オープニングでありながら、この物語の結末のようなんですよ。
映像をよ〜く目を凝らして見ないとわかりませんが・・・。

そして、深夜マルホランド・ドライブの事故のシーン。
このシーンが話の始まりなのかと思ってると、その後の展開に付いていけなくなるんですね。
いきなり、いろんな人物が出てくるし、何か関係があるかと思っていると何の繋がりもなさそう・・・わけわかんない!と。

しかし、リンチのドラマ「ツインピークス」を観た人なら、あの赤の部屋の小さいおじさんが出てきた時点でわかりますね。
「この一連の流れは現実ではなく、妄想かもしれない」と。
何の脈略もなく、唐突に描かれるシーンの数々・・・混乱するのは当然です。

md2.jpgここら辺からは、主観的に捉えた解釈ですのでご注意を・・・。
この作品の前半は、ベティ(ダイアン)の死の瞬間に自分の様々な思いなどが渦巻いて見たものだと思います。
夢ではなく、彼女の死ぬ瞬間・・・。
そして後半は自殺するまでの現実。

前半に出てきたリタは、ベティ(ダイアン)自身が投影した願望の姿ではないかと思います。
ベティを頼って、ベティを愛しているリタ(カミーラ)という姿・・・現実の逆ですね。
リタが金髪のカツラをかぶり、リタが「好き」だとベティに告白しながら肉体関係を持った時点で心身ともに同化したということで、ダイアンが願っていたことが叶った瞬間です。

そして「お静かに」という言葉と2人で行ったクラブ。
「お静かに」と日本語の意味通りではなく、この言葉は死者に向ける言葉でもあるようです。
ここでダイアンの気持ちを代弁するような歌を聞きながら2人で涙を流し、やっと気持ちが安らいだのでしょう。
青い箱が出てきましたね。
このクラブまでは涅槃だったのだと思います。
そして箱は天国へ旅立つ印。
とても物悲しい話ですね。

md3.jpgラストは2人で微笑んでいる姿が映し出されますが、実はオープニングではあの老夫婦とダイアンが微笑んでる映像が入り込んでるんですよ。
あの老夫婦も亡くなっていて、日本的に言えば三途の川の向こうから手を差し伸べた人なのではないでしょうかね?
この作品は、オープニングとエンディングは天国のダイアンなんです。

「メメント」ほど細かい時間の逆行ではありませんが、オープニングの天国のシーンから逆行している話で構成されているのでしょうね。
で、カミーラは本当に殺害されたのかどうかは定かではありません。
青い鍵が殺害したという印だと殺し屋は言ってましたが、何もせずにお金だけ受け取ってトンズラしたかもしれないのに・・・その鍵が置いてあったばかりにダイアンは取り乱してしまう。
本当に可愛そうなダイアン・・・。

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2007年08月07日 映画ま〜わ行 2000年以降 トラックバック:0 コメント:0

向かいの窓

2003年イタリア=イギリス=トルコ=ポルトガル
監督:フェルザン・オズペテク
出演:ジョヴァンナ・メッツォジョルノ、マッシモ・ジロッティ、ラウル・ホーヴァ−

(´▽`)つ★★★★★

<ストーリー>
夫と2人の子供と暮らしているジョヴァンナ。
彼女は家族の世話と仕事に明け暮れ、事あるごとに夫と衝突していた。
そんなジョヴァンナにとって、向かいの窓から見える若い男性の姿をそっと見る時が、現実から引き離してくれるひと時だった。
ある日、夫とジョヴァンナは橋の上でたたずむ老人男性と出会う。
その老人は記憶喪失らしく、夫は保護が必要だと言い張り、自宅へ連れて帰ることになった。


※ネタバレ含んだ記事です。

日本では未公開でDVD化もされていないんですけど、イタリアでは大きな反響を得て、ダヴィッド・ディ・ドナロッテ賞の最優秀作品賞、最優秀女優賞、最優秀男優賞(マッシモ・ジロッティ)、最優秀曲賞やカルロヴィ・ヴァリ国際映画グランプリ、監督賞などの数々の賞を受賞。
これほどの作品を日本で公開していないのは、実にもったいない。

mukainomado.jpg毎日家のことや仕事に追われているジョヴァンナが、相当ストレスが溜まっていて尖がっているなとわかる冒頭のシーン。
些細なことでも夫の一言一言が頭にくるって雰囲気がプンプン。
そこへ、見知らぬ記憶喪失の老人が転がり込んできて、更にジョヴァンナのイライラは増す。
記憶喪失の老人の世話は結局ジョヴァンナがするハメになり、ちょっとお気の毒なんですよ、仕事が増えたようなものですから。
しかし、この老人との出会いがジョヴァンナを変えていくことになるんです。
そして老人はかすかな記憶から「シモーネ」という名を口にした。

mukainomado4.jpg生活費の足しに、ジョヴァンナは週に2回ケーキを作って友人の店に収めていて、そのケーキを作っている時にシモーネは突然ケーキを作る時のアドバイスを始め、ケーキを作ることが好きなジョヴァンナに「なぜケーキ屋で働かないのか?」と尋ねる。
自分のお店を持つことが夢だったジョヴァンナは、今の暮らしでは到底無理だと夢を諦めたことを話すんですね。
ジョヴァンナのイライラは、どこか夢を諦めきれずにいる自分と生活のギャップが要因のようです。
そして、ケーキを収めた後にシモーネを警察に保護してもらうつもりで2人で出かけるのですが、そこであの向かいの窓の男性とバッタリ出くわす。

mukainomado2.jpg向かいの窓の男性はロレンツォという名でエリート銀行員。
ジョヴァンナと一緒にシモーネの身元を調べる協力をしてくれ、2人は急接近。
やがて、シモーネには若い頃、叶わぬ恋をしていたらしい・・・というところまで知った2人も惹かれ合っていたのです。
シモーネの恋とジョヴァンナの恋・・・。
実は、シモーネとは老人の名前ではなく、老人が愛した男性の名前だったんです。
記憶が戻った老人は自宅に帰るんですが、彼は有名なケーキ職人だったのです。
その老人の記憶の奥深く、60年前シモーネを愛した日々と他のユダヤ人をナチスの手から守るため、愛するシモーネを守ってあげられなかった哀しみが刻まれていたのです。
それで記憶喪失になっても「シモーネ」という名だけが口から出た・・・。

mukainomado3.jpgこの作品で描かれている2つの愛の物語は、プラトニックなんですねー。
ベタだけれど、ロレンツォがジョヴァンナを後ろから抱きしめるシーンは胸キュンものですよー。
ロレンツォは他の支店に転勤が決まり、ジョヴァンナにも来て欲しいと告げる。
心が揺らぐジョヴァンナだったけれど、夫と子供との生活を選ぶのです。
そして、今の仕事を辞め、ケーキ屋に勤めることにしたのです。
夢を諦めることなく、自分の人生を大切に生きることをジョヴァンナは老人から教えられ、不平不満をボヤく生活を自分で変えていく。

向かいの窓の男性を見ることで現実逃避していたジョヴァンナは、自分にとって何が一番大切なのかを改めて気付く話の展開。
この作品は本当に、丁寧に丁寧に作られているなーと思いました。
それと、久しぶりに凄くロマンチックな恋愛映画を観た気がします。
老人のシモーネへの愛を語る深くて情熱を帯びた言葉の数々は、もう感動物ですよー。

ラスト、ジョヴァンナの目がアップになった時、優しい眼差しに変るんですよ。
この演出は素晴らしい。
冒頭の尖がっていたジョヴァンナは、もういません。

老人役のマッシモ・ジロッティは、この作品が遺作となりました。

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2007年07月19日 映画ま〜わ行 2000年以降 トラックバック:0 コメント:0

ラスト・マップ /真実を探して

ラスト・マップ / 真実を探して 特別版2004年アメリカ
監督:ジョーダン・ロバーツ
出演:ジョシュ・ルーカス、クリストファー・ウォーケン、マイケル・ケイン

(´▽`)つ★★★☆☆

<ストーリー>
妻とは別居中のジェイソンは、一人息子ザック、祖父ヘンリーと暮らしていた。
ある日、30年間も蒸発していた父ターナーが現れる。
久々の再会も束の間、祖父ヘンリーが他界。
彼の遺言には、遺灰を指示した場所へ撒くように記されていた。
ターナー、ジェイソン、ザックの3世代が遺言通り、遺灰を撒く旅に出る。


男4世代の旅・・・と言っても良い、ロード・ムービー。
30年間も離れていた親子のギクシャクした絆を修復する旅というよりも、命の果てと繋がっていく命・・・という感じに受け取れた作品です。

lm2.jpgクリストファー・ウォーケンがこういう手の作品に出ていることに興味を持ち、ちょっと期待して観ました。
事故で息子のジェイソンは足を悪くし、その事故で妻を亡くしてしまった直後に失踪したターナー。
それが30年経って突然戻ってきた。
4世代顔を合わせたと思ったら、その時期を選んだかのように祖父が亡くなる。
遺した遺言は、なんか子供の宝物探しのような地図。
指示した場所に、愛犬の遺灰と共に撒いてくれっていうもの。
そこから、ジェイソンは息子を連れて渋々ターナーと一緒に旅に出る。

lm.jpgそして、遺言に従い、なぜか行く先々でまず「KFC(ケンタッキー・フライドチキン)」を食べなくてはならない。
到着した時に閉店していたら、翌朝開店するまで待つのですねー。
これも「なぜケンタ?」と疑問のままだったし、指定された場所がどういう意味を持つのか、祖父の思い出の地なのかが不明。
その辺の意味を徐々にでもわからせてくれたら、もう少しストーリーが膨らむのに・・・とは思いました。

3人の旅は孫のザックが良いクッションの役目になっていて、旅の途中でも露骨には衝突はしません。
お互いが様子伺いしているような雰囲気なんですが、ターナーの物の考え方や行動を冷めて見ているようなジェイソン。

lm4.jpgしかし話の核心は遺灰を撒く道中にではなく、終盤に差し掛かった辺りから動いてきます。
父ターナーが途中で再び姿を消してから、この親子の事実が明らかに・・・。
なぜターナーは30年前に姿を消したのか、なぜ突然戻ってきたのか。
祖父ヘンリーが遺灰を撒く旅を仕掛けた意図。

ターナーが旅の途中でジェイソンに自分の若い日の思い出話をするのですけど、ラストの方でその話のオチを語る。
そのオチ・・・というか、ターナーがジェイソンに何を語りたかったかを知った時、ジ〜ンときました。

親子4世代・・・子へ孫へと命が受け継がれていく。
祖父ヘンリーの「踊りながら送る・・・人間本来の姿だと思わないか?」という言葉が、ターナーへ・・・そしてザックに受け継がれたことが、この作品での象徴だと思います。
ラストはとても良かった。
lm3.jpg
エンディングの曲の歌詞見て、号泣・・・(´;ω;`)



※ケンタのお店の前に、カーネルおじさん人形を置き始めたのは日本で、それが世界に広まったらしいんですけど、アメリカの田舎では置いてない店があるのですねー。


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2007年07月08日 映画ま〜わ行 2000年以降 トラックバック:0 コメント:0